どう問いかければ発言を引き出せる? - 会議の司会が使う問いかけ例5パターン

会議の進め方
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会議がうまくいかないときの悩みの代表例が、「特定の人ばかりが発言していて、他の参加者は黙っている」というものではないでしょうか。みんなで意見を交換するからこそ会議の意味があるのに、それではただの独演会ですよね。今回は、そうしたときに、他の参加者から発言を引き出すための問いかけについて考えてみましょう。

司会の役割の1つは、発言を引き出すこと

会議の司会は、あくまで「司会」。自らが意見を述べて結論を出すのではなく、進行役としての役割を果たすことが重要です。

進行役の役割はいろいろとありますが、その中の1つが、参加者の発言を引き出すことです。参加者に問いかけたり、うまく振ったりすることで、多くの人から意見やアイデアを引き出していくようにしましょう。

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発言を引き出す問いかけパターン

それでは具体的に、どのように問いかければ参加者の発言を引き出すことができるでしょうか。以下に、私が効果的だと思う問いかけを例示してみましたので、参考にしてみてください。

○○という点については、どうですか?(観点を絞る)

発言が出にくい原因の1つとして、「何か意見はありませんか?」と質問が漠然としているということが考えられます。例えば、「この新製品の企画について、どう思いますか?」では、質問が大まかすぎて、何を言えばよいか分からないと感じる参加者もいるでしょう。また、回答の観点が多岐に渡っているので、「価格が高いと思うけど、いきなり価格の話をしてもいいのだろうか。まずはコンセプトとかから議論すべきなのかな。」と戸惑ってしまうかもしれません。

そこで、「この新製品の『価格』については、どう思いますか?」というように、観点を絞った質問をすると、参加者は答えやすくなります。「高い」「安い」「機能の割に安い」といったように、答えるべきことがイメージできますし、その観点について言いたいと心の中で思っていた人がいれば、発言しやすくなります。

○○について、賛成ですか? 反対ですか?(二択で聞き、掘り下げる)

ある事柄に対して、「賛成・反対」「やるべき・やめるべき」といったように二択で聞くというのも1つの手法です。

先ほどの「観点を絞る」と同様、二択で聞くことによって、参加者は「賛成」「反対」と回答をつくりやすくなります。もちろん実際には、「賛成とも反対ともいいがたい」という場合もあるでしょう。それはそれでもいいのです。賛成か反対か二択で聞かれることで、自分の立場を考えるきっかえを与えるのです。

そして、発言が少ない人に対しても、「○○さんは、賛成・反対でいうと、どっちかな?」というように振りやすくなります。このとき、「どちらを答えてもよい」「どちらとも決めがたいという意見もあり」ということはしっかりおさえ、自由に発言できる場をつくっておく必要があります。

○○さん、担当としてはどうですか?(関連する人にふる)

「発言が少ない人にふりたいけれど、いきなりふったら困惑するかもしれない。」そんな心配ありますよね。いきなり何の関連性もなく「○○さん、どう?」では、たしかに意見を求められても何も言えないかもしれません。

しかし、発言していない人が、その話題の担当者であったり、経験者であったり、以前に関連する発言をしていたりする場合は、ふられても比較的答えやすいはず。「担当してる○○さんから見てどうかな?」「前に○○さんは□□をやっていたと思うけど、どうかな?」のように問いかけてあげると、話しやすくなります。

ただし、必ずしも振られた人が発言を用意できるとは限りません。振られた人が傷つかないよう、例えば「ちょっと無茶振りかもしれないけど(笑)、担当の○○さん、どうかな?」などと、発言できなくても無理がないような雰囲気にする配慮をしましょう。

逆に、○○ということも考えられますね。どうですか?(反対の意見を引き出す)

ある議題に対して、何人かが賛成の意見を出したとしましょう。こうなると、徐々に反対の意見は言いづらくなります

そうしたときは、あえて司会から「逆に反対という意見はありますか?」と問いかけてみましょう。それまで賛成の意見の波にのまれて言いづらかった人が発言しやすくなります。司会があえて「個人的には○○という点から、反対ですけどねえ。そういった方いらっしゃいますか?」と反対の立場をとってみても面白いです。

このとき、「反対の意見もしっかり聞いて、議論を深めたいのですが」というように、より一層反対の意見を言いやすくすることも大切です。また、反対の意見が出されたときに、賛成の立場の人から反発があり、せっかく意見を言った人が萎縮してしまうこともありえます。司会が反対の立場に回るなど、フォローしてあげるようにしましょう。

他に何か言いそびれたことなどありますか?(閉じ込めていた発言を引き出す)

議論が終盤には、「他に何かありますか?」と聞くことが多いと思います。この質問は必ず設けるようにしましょう。ずっと思っていたけどなかなか言い出せなかったという人は必ずいます。「これまでのところで何か言いそびれたことはありませんか?」というように、議論済みの部分について閉じ込めてしまっていた発言を引き出せるような問いかけをしましょう。

その際、先ほど決まったことをくつがえすような意見になる場合もあります。もちろん本来であればその議論の最中に発言してもらいたいところですが、なかなか言い出せなかったという人もいます。司会から「たしかに大事なポイントですね。もう一度考えてみましょう」とフォローしてあげましょう

「それはもう決まったことだ」と反対する人もいるかもしれませんが、こうした場合、そのことを発言した本人が一番自覚しているものです。発言を一蹴するのではなく、しっかりと認めてあげれば、次回以降、発言する勇気を持てるようになり、適切なポイントで発言するようになるでしょう。

会議の序盤で全員の発言を引き出そう

さて、ここまで、発言を促す問いかけ例を紹介しましたが、これらの手法を使うなどして、できる限り会議の早い段階で、全員が発言できるようにしましょう。全体に対して1回でも発言をすれば、緊張がやわらぎ、次の発言がしやすくなります。最後のほうに発言を振られて、ようやく緊張がほぐれるようでは、もったいないですよね。発言をしていない人が誰かをよく観察し、うまく序盤で話を振れるようにしましょう。

まとめ

今回は、参加者から発言を促す質問について、代表的なパターンをご紹介しました。実際には、司会と参加者との関係性、議題の内容、司会のパーソナリティなどによって、効果的な質問は変わってきます。各自が各会議においてアレンジして使ってみてください。

また、発言が出ない原因は、そもそもの会議の雰囲気にある場合も往々にしてあります。自由に発言ができる「雰囲気作り」もとても重要です。今回の問いかけ例だけでなく、アイスブレイクなどの手法も使って、より活発に意見が出る会議を目指しましょう。

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