会議を行っていると、様々な問題が発生します。みんなでアイデアを出し合いたいのにすぐ否定する人がいたり、長々と発言する人がいたり…。今回は、会議を円滑に進めるために、会議にルールを設けることを考えてみましょう。
会議のグランドルールとは
「グランドルール」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。会議やワークショップをする上で、参加者全員が大前提として守るべきルールのことを言います。
具体的には、「意見を否定しない」「発言は端的に」といったものです。こうしたことをいくつか事前に設定し、それを参加者全員で守るようにするのです。
特にワークショップにおいては、参加者がアクティビティをしたり、メンバーと話し合ったりというように、ただ講師の話を聞いているのではなく、「参加型」の活動を行います。そのためには、参加者が「何を言っても大丈夫だ」と安心できる場づくりが大切です。そうした場をつくる方法の1つとして、事前に参加者全員でルールをつくって守るのです。
会議は、もとより参加型でなければいけないのですが、実態は必ずしもそうではありません。そこで、ワークショップと同様に、ルールをつくることで、全員が安心して参加できる場をつくろうというわけです。
グランドルールの5つの例
それでは、グランドルールとして設定すべき具体的なルールの例を紹介しましょう。
意見は最後までしっかりと聞く
まずはじめに設定したいのが、「他者の意見をしっかりと聞く」ということ。いわゆる傾聴です。
参加者の中には、「こんなこと言ったらバカにされるかな」「変な意見じゃないかな」などと不安に思っている人も少なからずいます。誰の発言であれ、最後まで相手のほうを向いてしっかりと聞き、受け止める場をつくることが大切です。相手のほうを向くだけでなく、うんうんとうなずきながら聞いたり、「なるほど!」と相づちをうったりするとより一層よいですね。
もし途中で話を切って自分の意見を割り込ませようとする人がいても、「○○さん、まずは□□さんの話を最後まで聞いてみましょう(ルールですからね)」と司会が促すこともやりやすくなります。
意見を否定しない
冒頭でも触れましたが、ポジティブにいろいろなアイデアを出したいのに、すぐに意見を否定する人いますよね。せっかく発言したのに否定されてしまうと、次に発言する気持ちがなくなってしまいますし、アイデアも広がらなくなってしまいます。
「意見を否定しない」というルールは、いわゆるブレインストーミングを行うときには必須のルールです。ブレインストーミングでは、アイデアの質を問わずに数をたくさん出すことを重要視するので、とにかくアイデアを否定せずにどんどん広げていき、最終的に画期的なアイデアを見出すのです。
反対するときは、原則代替案を出す
通常の会議においては、ある意見に対して反対の意見をいうこともあるでしょう。「否定しない」というルールでは議論がしづらい場合もあるでしょう。
そうした場合には、反対してもいいけど必ず代替案を出す、というルールを決めておきましょう。こうすると、ただただ否定ばかり続けることはできず、代替案をもって建設的な議論を進めることができます。
また、ルール化されていれば、意見をすぐに否定する人がいても、「なるほど、たしかにそれは問題ですね。代替案はありますか?」と代替案を考えることを促しやすくなります。こうして徐々に、否定ばかりする傾向を抑制することができます。
ただし、個人的にはこのルールはあまり好きではありません。なぜなら、会議というのは「多様な人が集まることで1人では解決し得ない問題を解決する場」なのであって、「○○の理由でその意見に反対だけれども、代替案までは思い浮かばない」というときに、別の誰かがそれを解決するアイデアを提示できるかもしれないからです。「代替案がないと発言してはいけない」というルールでは、問題提起することもできなくなってしまいます。
そこで上記の見出しには、「反対するときは、『原則』代替案を出す』と「原則」という言葉を入れています。こうしておけば参加者の人たちは、「ごめん、代替案まで見つかってないんだけど、○○さんの考えだと□□になってしまうから、まずいと思うんだ」と、否定するときにも相手に配慮した言い方になります。こうして、お互いを尊重し合いながら議論ができれば、たとえ否定したとしても、場が萎縮することなく、議論を建設的に進めていくことができるのではないでしょうか。
発言は端的に
これも冒頭で触れましたが、どうしても発言が長くなる人というのもいます。これはその人の癖・性格である場合も多いでしょう。必ずしも悪気があるわけではないので、それをもって人格まで否定しないようにしたいものです。
かといって、会議には時間制限もあるので、1人があまり長く発言するのは問題です。また、1人の発言が長いと、他の人はどんどん引いていき、発言する気を失ってしまいます。みなさんも、ある人の大演説が終わった後、場がシーンとなった経験があるのではないでしょうか。そうならないためにも、1回の発言は端的にして、コミュニケーションが頻繁に起こるようにしましょう。言葉のキャッチボールが多くなるほど、場が盛り上がっていきます。
時間厳守
会議はどうしても長くなりがち。ダラダラと長くならないように、時間厳守で行いたいですね。
ここでいう時間とは、会議の開始時刻と終了時間です。各議題の時間についても厳守としてもよいですが、実際にはなかなか難しい場合も多いでしょう。各議題の時間は、アジェンダに書かれたものを目安に若干融通をきかせつつも、最後には帳尻を合わせて、終了時間をしっかりと守る、というようにしたほうが現実的だと思います。
アジェンダにしっかりと時間を記載するとともに、このルールを設定することで、より一層時間の意識を高めることができます。
ルールは自分たちでつくる
上で上げたようなルールは、会議の参加者自身がつくると、より一層効果的です。実際に会議を行っている人たちが立てると、よりルールが実態に即したものになります。例えば、「発言は端的に」という点については、さほどいつも問題になっていないのであれば、ルールからはずし、別のルールを追加してもいいわけです。
また、自分たちでルールをつくると、守ろうという意識がより高まります。人は不思議なもので、他人から「こうするように」と指示されたことはなかなかやる気になりません。自分たちで「こうしよう」と決めると、不思議とやろうという気持ちになりやすいのです。
ただし、はじめは、「グランドルールをつくりましょう」と言っても、「え?」という反応をされてしまうかもしれませんし、どんなルールをつくればいいのかイメージが湧きにくいかもしれません。
そこでまずは「本で読んだんですけど、こういうルールをつくっておくといいみたいですよ。試しにこの4つをルールにしてやってみましょう」というような形で導入してもいいでしょう。しばらくしたら、ルールを見直す話し合いをし、あらためて既存のルールの大切さを理解したり、ルールの削除・追加を行ったりするとよいでしょう。
ルールは見やすいところに書いておく
せっかくいいルールがあっても、意識しなければ意味がありません。できあがったルールは、参加者全員が見やすいところに書いておきましょう。
具体的には、ホワイトボードの端にルールを箇条書きにした紙を貼っておくことが考えられます。また、ルールを書いた紙を折って三角柱状にして、机の上に立てておくのもよいでしょう。
まとめ
今回は会議のグランドルールについて、具体例を示しながら紹介しました。ルールをつくって全体で確認することは、会議で起こる様々な問題を事前に防ぐことにつながります。みなさんも普段の会議の問題を振り返り、どんなルールが必要か考え、実際に会議で使ってみましょう。