以前の記事でお伝えしたように,会議は人数が増えれば増えるほど議論がしづらくなり,参加者の参加意識も低くなってしまいます。

人数が多いときにはグループに分けて議論するのが効果的ですが,Web会議では通常グループに分けることができません。しかし,Zoomであれば,会議の途中で参加者をいくつかのグループに分けてグループディスカッションをすることができます。
今回はそんなZoomの便利機能「ブレイクアウトセッション」と活用のポイントをご紹介します。
Zoomのブレイクアウトセッションとは?
Zoomでは,参加者をいくつかのグループに分け,グループごとのルームで議論ができる機能があります。この機能をブレイクアウトセッションといい,そのときのルームをブレイクアウトルームといいます。
言葉では分かりづらいですので,実際の画面を見てみましょう。


はじめの画像では7人の参加者がいますが,次の画像ではそのうちの4人が表示されています(ちょっと見づらいですが)。画像はありませんが,残りの3人は別のルームで会議を行っています。このように,参加者全体を複数のグループに分け,それぞれのグループ専用のルームをつくって,グループディスカッションを行うことができるのです。
ブレイクアウトセッションのやり方は?
ブレイクアウトセッションのやり方は難しくありません。おおまかな手順を紹介すると以下のとおりです。
- アカウント設定で,「ブレイクアウトルーム」の設定をオンにする。
- 会議を通常通り開始する。その後,画面右下の「ブレイクアウトセッション」のボタンを押す。
- ルームの数や,誰をどのグループに入れるかなどを設定する。
ブレイクアウトセッションはホストでないと始められません。上記の手順は,ホストの方が行ってください。
詳細な方法については,詳しく書かれているサイトがたくさんありますので,ぜひ探してみてください。ここでは,以下のサイトをご紹介しておきます。

会議を効率的に行うためのブレイクアウトセッションの4つのポイント
本ブログは会議術のブログですので,技術的な方法は上記のサイトなどにお任せし,ここでは,ブレイクアウトセッションを使う際のポイントをご紹介したいと思います。
セッションをスタートする前に,趣旨をしっかりと説明する
ブレイクアウトセッションはとても便利な機能ですが,通常のグループディスカッションと決定的な違いがあります。それは,一度ブレイクアウトセッションを始めてしまうと,進行役も1つのルームの様子しか分からなくなってしまうということです(厳密には少し違いますが,それは後述します)。
対面式のグループディスカッションであれば,大部屋の中にいくつかの島をつくって議論するのが一般的で,進行役も全体を見渡したり,それぞれのグループの様子を覗き見したりすることが容易です。しかし,Zoomの場合は,ブレイクアウトセッションを始めた段階で,進行役もどれかのグループに入り,そのグループの画面しか見ることができなくなってしまいます。その他のグループがどうなっているか,画面上で全く分からなくなってしまうのです。
そこで,ブレイクアウトセッションを始める前には,グループディスカッションの趣旨や時間,ゴール,グループディスカッション後の進行などを丁寧に説明しておく必要があります。進行役が見ていなくても,それぞれのグループがしっかりと進むように説明する必要があるのです。セッション前に全体に対して説明しておくことで,グループごとのばらつきを防ぐ効果もあります。少し時間をかけて丁寧に説明しましょう。
グループごとにサブの進行役を置く
上のポイントとも関連しますが,進行役がその他のグループの様子が見られなくなるので,グループごとにサブの進行役を置いておくと安心です。
主催者側に人数の余裕があれば,主催者側からサブ進行役を選び,それぞれのグループに置きましょう。主催者側にそれほど人数がいない場合には,参加者にグループの進行をお願いしてみましょう。もちろんその場合は,事前にそのことを伝えておくほうが無難です。当日その場で言われたらびっくりしてしまいますからね。
サブの進行役の人たちとは,事前にしっかりと打ち合わせをし,共通認識を持っておくことが重要です。何を話し合うのか,時間はどの程度か,どのように話を振っていくのか,最終的にどこまで議論するのか,などです。
また,サブの進行役同士で連絡が取れるようにしておくとよりよいです。例えば,グループディスカッションの終了予定時刻になっても,あるグループだけ議論が全然終わらない,他の進行役に連絡して,時間の延長をしたいといったことがありえます。
通常のZoom会議では,Zoomのチャットを使うことで,特定の相手に対して会議中でも連絡をとることができますが,ブレイクアウトセッションの場合,それぞれのグループ内でしかチャットができません。ですので,ややうまくない方法ですが,携帯電話で連絡が取れるようにしておくなどしておくとよいでしょう。
議論を録画しておく
Zoomでは会議の様子を録画することができます。これはブレイクアウトセッションの場合も同様です。
先ほどからお伝えしているように,ブレイクアウトセッションに入ってしまうとお互いの様子が全く分からなくなってしまうので,あとで情報共有することがとても大切になります。もちろんメモをとるなどして,あとで報告・共有し合うようにすべきですが,念の為録画もしておけば,どんな議論だったか確実に振り返ることができますね。
ただし,この録画は,ホストでないとできません。Zoomには,共同ホストという機能があり,ホストと同等の権限を他の参加者に与える機能がありますので,事前にその設定をしておくことで,各ルームの録画を行うことができます。
便利機能を使いこなす
先程来,ブレイクアウトセッションを始めてしまうと,他のルームの様子が全くわからないとお伝えしてきましたが,厳密にいうと少し違います。
まず,ホストは各ルームに自由に参加することができます。ですので,はじめAグループの議論に参加した後,次にBグループの様子を見に行くといったことが可能です。あまり頻繁に移動すると注意が散漫になりますが,ときどき覗くのならよいでしょう。説明しそびれたことがあるときに補足説明をすることもできますね。
また,各ルームからは,ホストに対してヘルプを出すことができます。具体的なメッセージを送る機能ではないのですが,これを使うとホストのところに「セッション1の○○さんがヘルプを求めました」のような表示が出るので,ホストがそのセッションに参加して手助けをすることができます。
議論の内容や進め方について質問があるようなとき,時間内に議論が終わりきらないときなどにヘルプを求めるとよいでしょう。もちろん,この機能があることを事前にサブの進行役などに伝えておく必要があります。
さらに,すべてのルームの参加者に対して,いっせいにメッセージを送る機能があります。特定のルームだけ,特定の人だけといったことはできませんが,すべての参加者に遅れるので,「あと10分でグループディスカッションを終わります。そろそろまとめに入ってください」「どのグループも時間が足りなそうなので,10分延長します」といった連絡をすることができます。
ブレイクアウトセッションに入ってしまうと,全体のときよりも参加者のコントロールがしづらくなりますが,こうした機能を活用すること,改善をはかることができます。詳しい使い方は先ほどのサイトをぜひご覧ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。会議やワークショップでのグループディスカッションはとても有効なので,それがWeb会議でもできるのはとても魅力的ですね。ぜひ,ブレイクアウトセッションの方法とポイントをよく理解して,Web会議でもグループディスカッションに挑戦してみましょう。