〔BookReview〕『アイスブレイク入門』今村光章

会議の進め方
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今回は、アイスブレイクの基本から具体的な活動例までを丁寧に解説した、今村光章さんの『アイスブレイク入門』をご紹介します。会議におけるアイスブレイクの必要性については、こちらの記事でも紹介していますので、合わせてご覧ください!

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どんな本かざっくり言うと?

参加者の緊張をほぐすためのゲームや活動を「アイスブレイク」といいます。この本では、アイスブレイクについての基本的な解説、実際に行う上で準備すべきこと、そして、具体的なゲームや活動(本書では「レッスン」と呼んでいます)が解説されています。レッスンの紹介部分では、円形になって行うレッスン(チェーン術)、2人組で行うレッスン(ペア術)、グループで行うレッスン(グループワーク術)に分けて、具体的なレッスンの方法や効果が詳しく紹介されています。

主な内容をご紹介!

アイスブレイクを行う前に準備すべきこと

本書の第2章では、アイスブレイクを実際に行う際の事前準備や、当日のレッスンに入る直前の行動などについて書かれています。目的の確認、掲示物の用意、参加者の人数・男女比などの情報収集、名札、プログラムの用意などなど、非常に細かく具体的に書かれていて、実践的です。

この中で、今村さんは、司会自身が自己開示することの大切さを主張しています。

集団で集まった人たちの前に自分をアイスブレイカーとしてさらすとき、自分に関する情報を出し渋って、参加者に情報を与えなければ、集団のなかのメンバーも自分に関する情報をあまり出さなくなります。(中略)アイスブレイクでは、参加者の言葉と表情は、自分の像=鏡です

アイスブレイクの具体的な手法を知っている方でも、こうした心構えをもてている人は少ないのではないでしょうか。本書では、今村さん自身の自己開示の仕方も例示されていますので、とても参考になりますよ。

アイスブレイクのアイデアが満載

第3章からは、具体的なアイスブレイクの手法が解説されます。

ここでは具体的な手法もさることながら、はじめに書かれているチェーン術(円形になって行うレッスン)の目的がとても参考になります。目的の1つ目として、今村さんは次のように書かれています。

最初の目的は、参加者全員がお互いのつま先から頭の先までの全身を「見る=見られる」ためです。そして、だれもがその場では平等な立場であることを確認するためです。

このブログでも、会議室内のレイアウトについて、円形にする手法をおすすめしています。参加者どうしが平等であることが、場を活性化するために非常に重要であることをあらためて認識させられます。

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そして、この後、バースデイ・チェーン(誕生日の順に並ぶゲーム)をはじめとする具体的なアイスブレイクの手法がたくさん紹介されています。また、第4、5章では、ペアで行うレッスン(ペア術)、グループで行うレッスン(グループワーク術)がたくさん紹介されています。

例えば、グループワーク術の1つとして紹介されている「人間コピー」というゲームがあります。部屋の外に置いてある絵を代表1人が見てきて、それを他のメンバーに伝え、絵を完成させるというものです。実際にやるといろいろな絵が完成して盛り上がりそうですね。

また、「こころをひとつに」という、参加者が1人ずつ1から順に数字を言っていくゲームもたのしそうです。誰が次の数字を言うかは決められていないので、まわりの様子を伺いながら言っていき、2秒以上間があいたり、声がかぶってしまったらダメというもの。なかなか成功しなさそうですが、その過程がたのしそうです。

感想

アイスブレイクの入門書として、誰にとっても分かりやすい本です。文章がとても平易で読みやすく、ページ数も94ページとコンパクトなので、さっと読むことができます。

アイスブレイクのアイデアもたくさん載っていますので、家においておけば、いざアイスブレイクをやらなくちゃというときに、アイデア集として使うことができそうです。

また、それぞれのアイスブレイクには、それを行ったときの効果や気づきが紹介されています。アイスブレイクは、緊張をほぐすためのものですが、それだけでなく、そこから気づく学びがあるものなのです。

本書ではひとつひとつの活動をレッスンと呼ぶことにします。(中略)レッスンといえば、「授業」「課業」といった硬いイメージにつながるかもしれませんが、実は、それぞれのレッスンには出会いについての教訓(学び)があるので、この用語を使うことにします。

このことが、本書を単なるアイスブレイクのアイデア集ではないものにしています。その活動を行うことによって気づくことのできる教訓を知ることで、よりアイスブレイクの意義を深く理解することができると思います。

おすすめの読者

本書は、アイスブレイクの入門書であると同時に、アイスブレイクについてさらに深く理解することができる1冊です。おすすめの読者としては以下のようになります。

  • アイスブレイクについて、基礎から学びたい初心者
  • アイスブレイクは知っているし、実践したこともあるけれど、さらに深く理解し、より効果的なアイスブレイクを行いたい
  • アイスブレイクの様々なアイデアを知りたい

一方で、本書は主にワークショップなどでのアイスブレイクについて解説した本になっていますので、やや時間のかかるものであったり、しっかりとした活動であったりするため、会議のアイスブレイクにすぐさま役立つアイデアがほしいという人には向きません。本書にあるものでそのまま使えるものと、アレンジして使う必要があるものがありそうです。

しかし、アイスブレイクの考え方や司会の心得など、会議に応用していく上でも非常に大切なことが書かれていますので、アイスブレイクを実施する人にとっては必読書といってもよいでしょう!

まとめ

アイスブレイクについて体系的に整理された本は、必ずしも多くはありません。本書は、その意味でとても貴重な1冊といえるでしょう。ここでは紹介していないアイスブレイクのたのしいアイデアが満載ですので、ぜひ手にとって読んでみてください!